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by tas

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金 週次レポート ▸ 2026-W21 (5/18〜5/22)

金価格は下げ幅縮小、COT増加と需給改善が支えになるか

① 今週の一言要約

金は2026-W20の急落後も戻り切れず週間では-0.78%と小幅安でしたが、COTの積み増しと補正後センチメントの改善が同時に進み、調整の質は前週より明らかに落ち着いてきました。

② 価格動向とチャート振り返り

Gold/Silver Ratio (Stooq EOD close)

Source: Stooq end-of-day spot close series (xauusd / xagusd).

2026-W21の金価格は、weekly_inputs の価格スナップショットでは5月18日の4,563.0ドルから5月22日の4,527.3ドルへ下げ、週間騰落率は-0.78%でした。前週W20の-2.93%と比べると下げ幅はかなり縮小しており、下落トレンドが加速したというより、前週の大きな調整のあとに安値を試しつつ持ち直しを探った週とみる方が自然です。週中高値は4,570.3ドル、安値は4,465.1ドル、値幅は105.2ドルでした。安値は前週の4,560.1ドルを一時的に下抜けましたが、週末終値はそこから戻しており、売り一辺倒の崩れ方ではありません。

20日年率換算ボラティリティは18.71%で、前週18.34%からの上昇は限定的でした。値動きの見た目より変動率が暴れていない点は重要で、パニック的な投げ売りではなく、ポジションの入れ替えを伴う調整に近いと言えます。終値水準も3年パーセンタイル88.55と依然高く、3カ月騰落率は-13.40%でも、1年騰落率は+34.70%です。つまり短期モメンタムは弱い一方、長めの上昇トレンドが完全に壊れたとはまだ言い切れません。

比率面では金銀レシオが59.18で前週末比+0.24%と小幅上昇しました。ただし3年パーセンタイルは5.28とかなり低く、長めに見ると銀優位の地合いがなお続いています。前週は「高値圏を保てるか」が論点でしたが、今週はその問いに対し「安値は試したが、全面崩れには至っていない」と返ってきた週でした。

③ 機関投資家の動き

CFTCの5月12日時点のマネーマネージャー・ネットは98,015枚で、前週の94,254枚から3,761枚増えました。注目すべきは、価格がなお軟調だった週にポジションが積み上がっていることです。もし市場が高値崩れを強く警戒しているなら、通常はネットの縮小が先に出やすいのですが、今回は逆でした。投機筋が全面的に逃げているというより、押し目局面で少しずつ買い直している構図の方が近そうです。

それでもCOT水準自体は3年パーセンタイル30.97にとどまり、まだ過熱とは言えません。価格が高いのにポジションは混み合っていない、という前週の特徴は今週も維持されました。W20では「価格下落でもCOTは増加」という食い違いが見られましたが、W21ではその傾向がさらに続いた形です。これは中期の強気余地を残す一方で、上昇再開には新規買いの広がりがまだ必要だということでもあります。要するに、足元の需給は悪化ではなく改善寄りですが、まだ一気に上へ走るほどの熱量には達していません。

④ マクロ要因チェック

マクロで最も重いのは、やはり実質金利の高さです。米10年名目金利は4.57%、10年ブレークイーブンは2.39%、そこから計算される実質金利 proxy は2.13%でした。前週の1.99%から切り上がっており、金にとっては明確な逆風です。前週レポートで見ていた「実質金利が頭打ちになるか」は、今週については未達だったと言えます。価格が4,500ドル台前半まで押された背景を説明する力が最も強いのはここです。

一方で、ドルが全面的な逆風というほど強いわけではありません。DXYは119.28で3カ月変化は+1.14%ですが、1年変化では-1.73%です。構造的なドル高局面というより、短期的な持ち直しの範囲に見えます。VIXは17.44と落ち着き、ハイイールドOASも2.80%と低位で、信用不安主導の逃避相場でもありません。WTIは112.25ドルまで上昇し、3年パーセンタイル99.6の極端な高水準にありますが、今のところはインフレ再燃懸念が金の追い風になる前に、名目金利と実質金利の上昇として先に効いています。今週の金は「危機で買われない弱さ」ではなく、「高い実質金利の中で上値が抑えられた」と整理するのが妥当です。

⑤ 需給とセンチメント

需給面は前週より改善しています。金関連記事は26本で、前週36本からは減りましたが、サイト補正後の週間平均センチメントは+0.044、最新値は+0.02でした。前週W20の週間平均-0.40、最新-0.33から見ると、センチメントは明確に持ち直しています。記事数が減ったこと自体は関心の沈静化ですが、内容のトーンが悪化から中立ないし小幅プラスへ戻った点は重要です。少なくとも、下げの最中に悲観が加速した週ではありませんでした。

生スコアの平均は0.5536で、前週0.718よりやや低下しています。つまり記事の熱量は前週より弱い一方、補正後センチメントは改善しているということです。この組み合わせは、強気材料が爆発的に増えたというより、ネガティブなノイズが一段落した局面を示唆します。

Google Trends 3M (gold price)

Source: Google Trends daily 3-month series (gold price).

Google Trendsでは、gold price の3カ月系列が21、1年系列が22でした。前週比では3カ月系列が改善した一方、1年系列は27から22へ低下しています。1年系列のパーセンタイルは21.15で、検索需要はまだかなり低位です。価格が高水準を保っているわりに検索熱が盛り上がっていない構図は前週と同じで、バブル的な過熱感は見られません。COTが軽く、センチメントが改善し、検索だけが低いという並びは、強気の初動や持ち合い局面ではむしろ珍しくない形です。

⑥ 今週の洞察と来週の注目ポイント

前週W20で確認点として置いたのは、実質金利、4,560ドル近辺の安値ゾーン、COTの積み増し、そしてセンチメント改善の有無でした。結果から言うと、実質金利は1.99%から2.13%へ上昇して逆風が続き、価格も週中には4,465.1ドルまで下げて安値ゾーンを一度割りました。ただしその一方で、COTネットは94,254枚から98,015枚へ増え、センチメントもマイナス圏からプラス圏へ戻っています。前週の見立ては半分外れ、半分当たったと言えます。金利面は悪化したが、需給面は改善した、というのが今週の要点です。

ここからの仮説は3つです。第1に、4,450ドル台までの下押しを経ても終値が4,500ドル台を維持するなら、足元の調整は上昇トレンド内の再評価にとどまる可能性が高いこと。第2に、COTが10万枚近辺を回復しながら価格が反発するなら、投機筋の追随が遅れていたぶん上方向の余地が広がりやすいこと。第3に、逆に実質金利がさらに上がり、1年Google Trendsが低迷したままなら、価格が高い割に買い手が増えない停滞相場へ移るリスクがあることです。

来週の注目点は明確です。まず実質金利 proxy の2.13%がさらに上がるのか。次に、価格が4,465ドル近辺の週中安値を再び試すのか、それとも4,500ドル台後半へ戻せるのか。さらに、COTネットが10万枚を超えてくるかどうかも重要です。現時点の総合判断は、「短期はまだ上値の重さが残るが、需給は前週より改善。中期強気シナリオはまだ壊れていない」です。

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