メタルズビジョン貴金属ニュースセンチメント・マクロ分析

by tas

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金 週次レポート ▸ 2026-W39 (9/21〜9/25)

金価格は2.1%下落、COT5,727枚減と心理悪化が重なる

① 今週の一言要約

金価格は週間で2.1%下落し、COTネットロングは5,727枚減少、補正後ニュースセンチメントも週平均-0.2471へ悪化した。前週に見えた「逆風への耐性」は続かず、価格・機関フロー・心理がそろって弱含む調整局面に入った。

② 価格動向とチャート振り返り

今週の金先物参考値は、9月21日の週初値4,413.0ドルから9月25日の週末値4,321.2ドルへ下落し、週間騰落率は-2.0802%となった。週中高値は4,422.1ドル、安値は4,278.3ドル。値幅は143.8ドル、週初値に対するレンジは3.2586%だった。安値からは42.9ドル戻したものの、週初値を回復できず、前週の+1.1406%を打ち消す形で終えた。

前回は、4,500ドル台の終値回復、実質金利の2.68%からの低下、COTネットロングの増加を観測点に挙げた。結果は終値4,321.2ドル、実質金利2.83%、COTは5,727枚減で、三つとも改善しなかった。前週は悪条件のなかでも価格が反発したが、今週はその耐性を維持できなかったことが最大の差分だ。

終値は3か月前比+6.9895%、1年前比+14.7207%で、中期の上昇分はなお残る。水準は過去3年の79.18パーセンタイルに位置しており、今週の下落だけで長めの上昇基調が消えたとは言えない。一方、20日年率ボラティリティは17.5216%。過去1年では12.98パーセンタイル、過去3年では56.17パーセンタイルと見え方が大きく異なり、直近1年の値動きが以前より荒いレジームへ移ったことを示している。

Gold/Silver Ratio (Stooq EOD close)

Source: Stooq end-of-day spot close series (xauusd / xagusd).

上図のスポットはStooq系列のEOD終値を使用している。金銀比は67.2613で前週末比+1.1693%。金と銀の相対比較では金優位に傾いたが、これは金が強かったという意味ではなく、下落局面で銀の弱さがより大きかった可能性を示す。金の対WTI比率は前週末比+16.2299%だったが、主因はWTIが85.23ドルへ急低下したことにある。

③ 機関投資家の動き

CFTC COT(9月22日時点)では、マネーマネジャーのロングが135,699枚、ショートが8,310枚、ネットロングは127,389枚だった。前週の133,116枚から5,727枚減り、3週連続の縮小となった。内訳を見るとロングは6,695枚減り、ショートも968枚減少している。弱気筋の新規売りが急増したというより、強気筋の持ち高整理がネット減少を主導した形だ。

ネットポジションは過去1年の75.00パーセンタイルで、なお上位4分の1の水準にある。ただし、価格下落とロング減少が同時に進んだため、前週のような「フローは弱いが価格は耐える」という構図ではない。買い持ちの厚みは残る一方、その厚みが下値を支え続けるかは未確認である。次回はネット枚数だけでなく、ロングの減少速度が鈍るか、ショートが再び積み上がるかを分けて見たい。

④ マクロ要因チェック

Key Macro Tracker

金にとって重かったのは金利環境だ。9月25日の米10年名目金利は5.17%、ブレークイーブン・インフレ率は2.34%、差し引きの実質金利は2.83%。前週の2.68%から0.15ポイント上昇しており、利息を生まない金の相対的な魅力を抑えた。DXYも120.33と高い水準を保ち、ドル面から明確な追い風はなかった。

一方、VIXは14.87と落ち着き、強い逃避需要は見えない。WTIは直前観測の95.88ドルから85.23ドルへ急落し、インフレ懸念を通じた金需要にも勢いがつきにくかった。今週は「危機時の金」よりも、高い実質金利とドル環境が前面に出たと読める。

⑤ 需給とセンチメント

今週の金関連記事は38本。サイト補正後ニュースセンチメントは週平均-0.2471、直近値-0.49だった。前週の週平均+0.0686、直近+0.05からともにマイナスへ転じ、週初の+0.11から週末の-0.49まで徐々に悪化した。価格下落、COT縮小、ニュース心理の悪化が同方向に並んだため、今週の調整には周辺指標の裏付けがある。

Precious Metals Combined Sentiment Score Trend
Google Trends 3M (gold price)

Source: Google Trends daily 3-month series (gold price).

Google Trendsの「gold price」は、3か月系列の直近値が38で前日比-5.0%。一方、1年系列は23で前週の21から+9.5238%だった。短期の日次関心は週末に弱まったが、週次で見た検索関心は小幅に増えている。ただし1年系列の23は過去1年の5.66パーセンタイルにとどまり、一般の関心が熱狂的な水準へ広がったとは言いにくい。価格調整への注目は増えても、参加層の裾野が急拡大した形ではない。

⑥ 今週の洞察と来週の注目ポイント

今週の核心は、前週までの「価格と周辺指標のずれ」が解消され、弱い方向にそろったことだ。金価格は-2.0802%、COTネットロングは5,727枚減、補正後センチメントは週平均-0.2471。さらに実質金利は2.83%へ上がった。前週はCOTと心理が弱くても価格が反発したが、今週はその価格面の耐性も崩れた。この変化を単なる一日の振れとして片づけず、調整の質が変わった可能性として追う必要がある。

それでも、中期の価格水準と機関投資家の買い持ちが消えたわけではない。終値は3か月前比で約7.0%高く、COTネットロングも過去1年の75.00パーセンタイルにある。したがって、今週だけで長期トレンドの転換と断定する材料は足りない。短期の悪化が持ち高整理で終わるのか、価格・フロー・心理の連鎖的な弱まりへ進むのかが次の焦点になる。

来週は三つを確認したい。第一に、4,278.3ドルの今週安値を維持し、4,400ドル台を終値で回復できるか。第二に、実質金利が2.83%から低下へ向かうか。第三に、COTネットロングの減少幅が縮まり、補正後センチメントがマイナス圏から戻るかだ。価格が4,278.3ドルを割り込み、COTと心理も悪化を続けるなら、調整は一段深くなったと評価しやすい。反対に、安値を保ちながら金利・フロー・心理のいずれかが改善すれば、今週の下落を持ち高整理の範囲と見直せる。

金銀比も補助線になる。比率上昇が続くなら、貴金属全体の回復というより銀から金への相対的な防御姿勢が残っている可能性がある。比率が低下し、同時にCOTと心理が落ち着けば、貴金属全体へ需要が戻り始めたサインになりうる。結論を急がず、今週そろって悪化した三つの指標が、どこから反転するかを見たい。

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